仮病

こんな天気の悪い日に、しかも生理がきているときに、寝坊するのは当然だし病気のふりをするのも簡単だ

ぶらりと入った喫茶店で、注文したクロックムッシューを運んできた店員が、見た目も挙動もネットで知り合った某W先生に本当に瓜二つで、本人かと一瞬疑ったし、ドッペルゲンガーかと思った

腹が痛い
寺山修司「家出のすすめ」を読む
まだ家に帰るには時間が早すぎる
GPSによる居場所探知機能が厄介だ
悪徳を貫くために知らなければならないことは、悪徳の気分の悪さだ
さて、それを楽しむ余裕が、私にあるだろうか
小さな小さな自分の悪徳を正当化するために、私は自らをパンクと呼ぶ
寺山修司によれば正当化された悪徳は悪徳ではないというが、私にとってそれは特に気にならないことだ
パンク音楽は曲調が軽く明るすぎて、型にはめられたような反体制の歌詞も鼻について、あまり好きではないのに、好む服も自分の形容もパンクであるとは薄笑いすら漏れる
本屋で読んだ誕生日占いでは私は誕生数33の、何色にも変化するレインボーカラーの、誰からも理解されがたい大変人の、物忘れが激しく方向音痴な菩薩だという
菩薩、って
笑かす
本当に天上の人間になれるのなら今すぐにでもそっちに行きたい
憂鬱
怠惰
ないんだろう?
平和も人類愛も、さほど大切だなんて思ったこともないよ
曼陀羅描くみたいに絵を描いて、それで魂の安定が手に入るのなら、今頃すぐにそうしてる
最早、この時代にそれは不必要になってしまったんだよ
ただ生きるために生きられないのが文明、つまり、人間なんだよ
自由でも不自由でもなく、順応出来るか出来ないか
新しい水槽の水質に順応できなかった魚はあっさりと死ぬ
死ぬしかできない
この社会に順応できなかった人間は、順応を迫られる
死ぬことは容易でない
私は何匹の魚を土に埋めただろうか

煙草が尽きた
紅茶も冷めた
財布は軽い
もうすぐ行かなくちゃ
駅から出たくないな
いっそ、ホームのコンクリートに溶けて染み込んでしまえたら

ダメージデニムの穴を数える
自分にいくつ、穴を空けられるだろう