もしも当時に戻って高校生をやり直すなら

天然の黒髪でばっつんばっつんのおかっぱボブに指定のブラウス、コート、セーターは当たり前、ネクタイやリボンは絶対に着崩さず、スカートは膝丈を死守(過剰に短くするなんてあり得ない)、正式な式典以外の日でも白のハイソックス又は指定の靴下を決まった履き方を守って履き、鞄も指定の物を至極綺麗なまま三年間使用、キーホルダーの代わりに神田明神のお守り、授業は例え寝てしまおうが成績が振るわなかろうが無遅刻無欠席を貫き、無理矢理友達なんか作ろうとせず人間関係は成り行きに任せ、放課後はバイトなんかしないで美術部に入り、昼休みは図書室で過ごす

ああ私の理想は、こんなにも単純で、簡単で、当たり前のことだった
多分、こういう、自分にとって一番楽な選択をせずに、無理をしたから、変に格好つけようとしたから、中学で荒んでいた自分にケリをつけようとしなかったから、他人を意識しすぎたから、理想とは真逆の高校生活を送るに至ったに違いない
教師のお情けで卒業できたとか、何の自慢にもならない
人生の、一生の、汚点だ
中2で気が狂ったのは、間違いなく、教師が、学校が、悪かった
私は今でも、これに関しては自分が悪いなんて思ってはいない
だけど、高校は、嫌いではあったけど、中学の頃を「学校」という場所に引き摺ってしまったために、私自身が悪くしてしまった
悪くなってしまった
思えば、中学の経験があるなら、逆に周りなんか気にするのはバカらしいと、まともな神経を持っていれば気が付いたはずだし、時代遅れのルーズソックスなんか履くはずもなかった
ていうか大体そんなの柄じゃない
実際違和感は凄かった
地味で暗くて友達のいない自分が許せなかったんだと思う
でも、地味で暗くて奇妙な趣味を持っている自分は、間違いなくそこにいて、それに収まっているときはものすごく居心地が良かった
それに従えたら、そんな高校生だったら、いじめに遭おうがハブ食らおうがカッコいい自分でいられたのに
弱かった、弱かったよ
あのときは、弱かった
恥ずかしいよ
リセットは、きかないし、したくもないけど
再起動するくらいなら、潔くコンセントのケーブルを切断するよ
さよならだ
輪廻なんてないし、前世の記憶なんて、絶対に確実に残ってやしないんだから