敢えて言う必要性のないことなど

昨夜、人間と酒を飲んでいたところ、
「これが超いいんだよ、『萌えて学べる思想コレクション』。ネオリベたんかっこいい」
と一冊の本を渡されたが、パラパラと中身を見て、何も言わずに横へ投げた
これだったら殺人王シリーズ読みたい…というのが正直な感想だ(比較としては大きく間違っているが)
別に、人の趣味を否定しようってんじゃあない
単に絵柄が全く好みでないだけなのだが、この、「萌える」ってのが、どうも、引っかかって引っかかって仕方ない
今となっては誰も疑う余地もなく当たり前のように量産され、ブームも過ぎ去りごく自然に消化されるまでとなった「萌え絵」と呼ばれる類のアニメチックなイラスト、それをして私は個人的に何を思うか、それは、
「拝金主義の媚び絵に見えてムカつく」
というところに行き着いたのである
が、絵描きだって出版社だってお金は大事だし、いくらでも儲けりゃいいと思うしガンガン手を広げネタを放り出していけばいいと思う
ただまあそんな単発で消費するなら漫画家の人とか同人誌即売会で頑張ってる人にお金落としてあげたい気持ちにはなるけどそこは別によい
私みたいなのは有料チャンネルの海外アニメでも見てれば好みでない世界観に触れることも意見することもなくそっちの世界の人も何も言われずに済むわけだからお互いハッピーなのだし
以前弟がこんなことを言っていた
「萌え絵の女なんてのは、エロい目にあってるかズタズタに殺されるか陵辱されてりゃあいいんだよ!媚び媚びの視線でこっち見てんじゃねえ!ファック!」(弟も弟でアンチ萌え絵で海外アニメ大好き人間である)
それは確かに私も同意で、ファックはともかく私の中では、現在流通する萌え絵という存在はいわゆるエロ漫画やエロゲーの中でこそ輝いて見え(とは言え私個人に関して言えば、こんな顔だけ綺麗な死体イラスト見たってしょうがねえんだよどうせ絵なんだからもっとブチ壊せやと思うモノも少なからずあるのでそれが全てではないが)、そういった性欲処理向け媒体に掲載されている漫画絵の数々はむしろ私も大好きだし、おーすげーゲラゲラ、的な感覚で楽しんじゃいるのだがそうでないもの、普通の本屋の普通のコーナーに平積みされているようなものに使用されているのは、エロ漫画買えない人向けの言い訳用にしか見えなくてなんだかなあといった調子になるのがいけすかないのだろう(だろう?)
暗に性欲に訴えかければモノは売れると聞く
そういう意味で考えるのなら筋は通ったモノの売り方であるなと思う
そう考えると爽やかなマーケティング手法であるとさえ思う
何せ、性欲処理向け媒体でよく見る絵柄がそうでない媒体に載ってりゃ無意識の何かが働いて思わず手を伸ばそうかというものだ
サブリミナル効果に近い何かなのだろう
その割には露骨すぎる気もするが

最後に言い訳として、そういうのが好きなあなた方のことを否定はしない、存分に楽しめばいい、それを侵害されるようなことがあってはならない、絶対にだ
作ってる人は本当に頑張ってたくさん手にとってもらえるモノを作って欲しい、新しい境地をたくさん見つけて、たくさん挑戦している人の作品を見る事を本当に楽しみにしている
本心である
心からの願いだ
ただ個人的な趣味の、本当に個人的な、パブリックにすべきかどうかわからないレベルの次元で、私は萌え絵と呼ばれる絵柄が嫌いだ
以上でございます